「街録(がいろく)」とはテレビ業界の専門用語で、道ゆく人に声をかけて撮影録音、VTRにまとめる手法のこと。この名を冠したユーチューブ番組「街録ch~あなたの人生、教えて下さい~(https://www.youtube.com/channel/UCB4nWNauim-qxiaDOcH0dLA)」が大人気です。開設から2年半。サムネイルの下品でえげつない見出しに誘われて再生すると、有名無名の老若男女が「これまで聞いたこともないような」半生や日常生活を、顔出しでしゃべっている――。そんな動画がチャンネル登録者数90万人を超える“快進撃”を続けています。
製作しているのはディレクターの三谷三四郎さん(35)。もともとテレビマンで2020年3月、「もっと自由に好きに番組を作って、アーカイブも残したい!」とたった一人で一脚付きの小型ビデオカメラをたずさえ、街頭へ出ました。
当時は通行人に「ちょっといいですか?」と話しかけていましたが、最近は東京・新宿などの雑踏で待ち合わせた人を近くのベンチに座らせ、1メートルほどの近さでレンズを構えてインタビューします。
目の前で驚きの物語 政治家も宗教関係者も取材
相手はセクハラ被害を訴える20代の元女性自衛官、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の元信者で合同結婚式を挙げた経験を持つ50歳の女性、女性専用風俗のイケメンセラピストなど、マスコミが忖度(そんたく)しそうな人物にも「へー」とか「そうなんですねー」と相づちを打ちながら、驚きの日常や壮絶な過去をスルスルと語らせます。番組は顔面アップのみで1時間以上続くものもありますが、絶妙なテロップなど巧みな編集技術で飽きさせません。毎日のように配信し、これまで約700人を取り上げてきました。
放浪の天才画家「裸の大将」を思わせる素朴な風貌(ふうぼう)ながら、戦略したたかに「今を生きる人々」を伝える三谷さんに話を聞きました。
――ユーチューブ番組「街録ch」を開設して3年目。登録者数は右肩上がりに増え続け、年内には100万人を達成すると見込んでいます。
視聴者は20~50代、年代も性別も関係なく見られています。開設時は全部1人でやっていて、最近は編集作業を手伝ってくれるアルバイトが約40人。スケジュール管理などで1人雇い、ほぼ毎日配信しています。
ファンにはテレビのドキュメンタリーやノンフィクションが好きな人が多いです。そういう見た目にして“大人向けの動画”として配信していて、例えば取材した人がしゃべった内容の真偽を確かめる「裏取り」はしません。僕の目の前で、驚きの物語をしゃべる人間を面白いと思うので。基本「顔出し」で、政治家や宗教に関係する人も取り上げています。
インタビューではマイクで声…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル